血糖値をコントロールするために知っておきたい「GI」と「GL」の話
ダイエットや糖尿病予防、健康的な食生活を目指す上で、最近よく耳にするのが「GI(グリセミック指数)」という言葉です。
これは、ある食品を食べたときに、血糖値がどれくらいのスピードで上がるかを数値で示したものです。
GIは、ブドウ糖を100としたときに、その食品がどれだけ血糖値を上昇させるかを比較したもので、値が高ければ高いほど、血糖値が急激に上がる傾向があることを意味します。
一般的に、GIが70以上なら「高GI食品」、56〜69は「中GI食品」、55以下が「低GI食品」と分類されます。
たとえば、白パンや白米、じゃがいもなどは高GI食品に分類され、血糖値を急激に上げる可能性があるため、糖尿病や肥満のリスクがある人にとっては注意が必要です。
GIだけではわからない?「GL」というもう一つの指標
しかし、GIだけを見て食品の良し悪しを判断するのは少し早計です。
なぜなら、GIは「食品中の糖質の質」に注目した指標であり、「量」を考慮していないからです。ここで登場するのが「GL(グリセミック負荷)」という考え方です。
GLは、「その食品に含まれる糖質の量」も含めて、血糖値への実際の影響を表す指標です。
GIと糖質量を掛け合わせたもので、計算式は以下の通りです:
GL = GI × 糖質量(g) ÷ 100
つまり、たとえGIが高い食品であっても、糖質の量が少なければGLは低くなり、血糖値への影響も比較的穏やかになるというわけです。
実例で見る:GIとGLの違い
具体的な例として「にんじん」を挙げてみましょう。にんじんはGI値が高め(約80)ですが、100g中の糖質量は6g前後と少ないため、GLは4.8と非常に低い値になります。これは、にんじんを食べても血糖値に大きな影響は出にくいということを意味しています。
一方で、スイカもGIは高い(約72)ですが、水分が多く糖質は少なめなので、GLは低くなります。逆に、白米や食パンはGIも高く、糖質量も多いためGLも高くなり、血糖値の急上昇を招きやすい食品といえるでしょう。
GI・GLを活用した食事の工夫
● 主食の選び方に気をつけよう
白米や白パンよりも、玄米、雑穀米、全粒粉パン、オートミールなどの低GI食品を選ぶと、血糖値の上昇をゆるやかに抑えることができます。また、食物繊維の多い食品(野菜、きのこ、海藻など)を一緒に摂ることで、GIが高い食材の影響を抑えることも可能です。
● 食べる順番を変えるだけでも違う
「ベジファースト(野菜を先に食べる)」は、実際に血糖値の上昇を抑えるのに効果的です。食物繊維が胃腸の働きを穏やかにし、糖質の吸収スピードをゆるやかにしてくれるためです。
● 加工や調理法でもGIは変化する
同じ食品でも、加工の度合いや調理方法によってGIは変わります。たとえば、パスタはアルデンテ(かため)に茹でたほうがGIが低く、血糖値の上昇を抑えやすくなります。白米も、冷やして食べることで「レジスタントスターチ」が増え、GIを下げる効果が期待できます。
運動との関係
低GI食は、空腹感を抑えたり、持続的なエネルギーを供給するという点で、運動パフォーマンスの維持にも役立ちます。特にマラソンや長時間の有酸素運動では、血糖値が急激に下がるとパフォーマンスが落ちてしまいます。運動前や運動中の栄養補給では、GLの低い糖質を少量ずつ摂ることで、安定したエネルギー供給が可能になります。
まとめ:GIとGLを知って、賢く糖質を選ぼう
「GI」は糖の吸収スピード、「GL」は吸収される糖の量も含めた実際の血糖値への影響を示しています。どちらも知っておくことで、単純に「甘いもの=悪い」と判断するのではなく、自分の体調やライフスタイルに合った食事の工夫ができるようになります。
健康的な体づくりやダイエットの成功には、こうした知識を生活に活かすことがとても重要です。「何を」「どれくらい」「どのように」食べるかを意識して、無理なく賢く糖質とつき合っていきましょう。