運動時の食事でグリコーゲンローディング(エネルギー貯蓄)

例えばマラソンを走るための食事と栄養バランス

マラソンのような長距離運動では、エネルギーの補給と維持がとても重要です。特に20km以上のレースでは、普段の食事だけでなく、数日前からの準備も含めた計画的な栄養戦略が必要です。

グリコーゲンローディングとは?

マラソン直前に体の中に多くのグリコーゲン(エネルギー源)を蓄える方法を「グリコーゲンローディング(またはカーボローディング)」といいます。通常では20km程度で枯渇する筋グリコーゲンを、食事と運動調整によって倍近く蓄えることが可能になります。

グリコーゲンローディングの流れ

  1. 準備期(7〜4日前): 低糖質(40〜50%)+激しい運動で筋肉のエネルギーを枯渇させる
  2. 回復期(3日前〜): 糖質を70〜80%に増やし、タンパク質も多めにとって回復を促進
  3. レース当日朝: 消化の良い糖質中心の食事(ほぼ100%)

栄養バランスの目安

マラソン時の栄養バランスの目安(%エネルギー比)
期間 糖質 脂質 タンパク質
普段の食事 55~60% 20~25% 15~20%
準備期間(走り込み期) 50% 30% 20%
グリコーゲンローディング前半(低糖質) 40~50% 30~35% 20~25%
ローディング期(3日前~) 70~80% 10~15% 10~15%
レース当日の朝 90~100% 0~5% 0~5%
マラソン中 糖質中心(エネルギージェル・バナナ等) ほぼなし ほぼなし

運動と食事タイミングの関係

運動後は筋肉がエネルギーを補給しやすい「ゴールデンタイム」と呼ばれる時間があります。特に運動後1.5時間以内の食事は、筋グリコーゲンの再合成にとても効果的です。さらに、食後30分後にはインスリンが血糖を下げ始めるため、このタイミングで激しい運動を行うと血糖値が急激に下がってしまう可能性があります。そのため、食後2時間以上経ってから運動することが理想的です。

フルマラソンとエネルギー補給

グリコーゲンは水分と一緒に蓄えられるため、ローディング後は体重が増えることがあります。一方で、フルマラソン(42.195km)を走ると、実際には2〜3kg程度体重が減ることもあります。これは水分や糖分が消費されるためです。4時間以上かけて走る場合には、途中の栄養補給(エイドステーションやエネルギージェルなど)が非常に効果的です。

まとめ

マラソンを成功させるには、普段の食事、レース前の栄養戦略、そして当日の体調管理が鍵になります。難しそうに思えるかもしれませんが、糖質・脂質・タンパク質のバランス、そして「いつ・何を・どのくらい食べるか」を意識することで、スタミナの持続力は大きく変わります。