血糖が体の中で作られる仕組みと役割

私たちの体は、食べ物からエネルギーを得て生きています。

その中でも、血糖(けっとう)と呼ばれる「血液中のブドウ糖(グルコース)」は、とても重要なエネルギー源です。

得に脳はブドウ糖しかエネルギー源にできないため、血糖がないと人間は生きていくことができません。

血糖はどうやって作られる?

血糖は、私たちが食べる「三大栄養素」から作られます。この三大栄養素とは、「炭水化物(糖質)」「たんぱく質」「脂質(脂肪)」のことです。特に血糖の主な材料になるのは、炭水化物です。

食べた炭水化物は、口や胃で消化されて、最終的には小腸で「ブドウ糖」に分解されます。

このブドウ糖は小腸から吸収されて、まず肝臓に運ばれます。そして、肝臓で一部が貯蔵されたり、血液中に送り出されたりして「血糖」として体中をめぐります。

また、たんぱく質や脂質も、体内で化学反応を通じてブドウ糖に変わることがあります。

これを「糖新生(とうしんせい)」と呼びます。

つまり、炭水化物が足りないときには、筋肉や脂肪を材料にしてでも、体は血糖を作ろうとするのです。

血糖の役割と重要性

血糖の一番大きな役割は、「エネルギー源」として働くことです。特に脳や神経は、ブドウ糖がないと正常に働きません。人が歩いたり考えたりするだけでなく、寝ているときや息をするなどの無意識の行動にも、常に血糖が必要です。

だから、体の中では血糖が急に減ったり、逆に増えすぎたりしないようにする「血糖コントロール」の仕組みが厳密に働いています。

肝臓と筋肉の役割

体には、血糖が足りなくなったときに備えて、ブドウ糖を「グリコーゲン」という形で一時的に貯めておく機能があります。グリコーゲンは主に「肝臓」と「筋肉」に蓄えられます。

肝臓のグリコーゲン:
肝臓に蓄えられたグリコーゲンは、必要に応じてブドウ糖に分解され、血液に放出されます。

たとえば、食事と食事の間や、夜寝ている間などに血糖が下がらないよう、肝臓が自動的にブドウ糖を放出して、血糖値を一定に保とうとします。

筋肉のグリコーゲン:
一方で筋肉にもグリコーゲンが貯められますが、これはその筋肉自身が使うためのエネルギー源です。たとえば、走ったり重いものを持ち上げたりするときに、筋肉が自分で貯めたグリコーゲンを分解してエネルギーに使います。

ただし、このブドウ糖は血液には戻らず、あくまでその筋肉専用です。つまり、筋肉のグリコーゲンは血糖の維持には直接は役立ちません。

血糖が足りないとどうなる?

血糖が不足すると、体や脳にさまざまな不調が起こります。血糖値が極端に下がる状態を「低血糖」といい、症状としては次のようなものがあります:

  • めまい

  • 手のふるえ

  • 集中力の低下

  • 発汗

  • 意識がぼんやりする

  • ひどいときは失神やけいれん

これを防ぐため、肝臓やホルモンの働きによって血糖は一定に保たれるように調整されています。血糖値を下げる働きのある「インスリン」というホルモンや、逆に血糖を上げる「グルカゴン」「アドレナリン」などのホルモンが関わっています。

血糖と健康の関係

血糖値が常に高い状態(高血糖)が続くと、「糖尿病(とうにょうびょう)」という病気になる可能性が高くなります。糖尿病になると、インスリンの働きがうまくいかなくなり、血糖値のコントロールが難しくなります。

血糖が高いままの状態が続くと、血管や神経が傷ついて、視力の低下、腎臓の病気、足のしびれ、心臓病など、さまざまな合併症を引き起こします。

そのため、血糖値を適切に保つことは、健康な生活を送るためにとても大切なのです。

まとめ

血糖は、私たちの命と日々の活動に欠かせない「エネルギーの通貨」のような存在です。食べた炭水化物などが分解されて作られ、小腸から肝臓を経て血液中に流れ、脳や筋肉、全身にエネルギーを届けます。

特に脳にとっては唯一のエネルギー源であるため、たとえ短時間でも血糖がなくならないように、体は緻密な仕組みで血糖を維持しようとします。肝臓やホルモンの働きによって、血糖は常にバランスを保たれ、私たちの体を支えてくれているのです。

日々の食事や運動、生活習慣が血糖の安定に大きく関わっているため、健康のためにも、血糖について知ることはとても大切です。